カタチから入って何が悪いの？　キッチンの革命はヤフオク!から

　

　　

ビギナーから腕自慢まで……すべての人々がむせび泣く道具たち

• 料理人の命・やっぱり包丁 牛刀、菜切、蛸引、三徳……使い道によって数え切れないほど種類があるのが包丁のおもしろさ。Cook Do(R)のCMよろしくリズミカルに食材をさばいてみたい（タモさんばりのニセ中国語もコミで）と誰もが思っているはず。
• 一気にそろいます。スプーンやフォーク 「カトラリー」などという気取った言葉で紹介される類の道具たち。ほかにもトングや、レストランでしか見られないカレーを入れるあの容器も登場。1度に大量購入できるので気分が高ぶること必至。往時の給食を思い出し「グワッシャーン！」とバラまいて大きな音を出すために買うのはだめ。
• ワレモノ注意！　色とりどりのグラスたち 圧倒的な個数でみなさんは必ず納得するはず。「新品48本」など、眺めているだけでグッとくるでしょう。ワイングラスやアイスクリームを入れる器、はたまたドリンクバーで見かけるグラスの持ち運びラックまで出品している例も。苛立ちを紛らすため盛大に割る目的で買うのはだめ。
• 器で世界旅行・食器いろいろ 洋の東西を問わずさまざまな形の食器が集合。憧れの舟盛り器で刺身を食すもよし、本格的なグラタン皿をオーブンにかけてみるのもステキなはず。そば桶を持って自転車にまたがり、ひっくり返した末に「また親方に怒られるぅ」と弱音を吐くプレイも可能。
• 買いそうで買わない。今こそステーキ皿を！ いい肉を載せなくてはいけないという謎のプレッシャーがあるあまり、購入を躊躇（ちゅうちょ）してしまう商品。それがステーキ皿だろうと勝手に宣言してしまおう。ちょっと気後れする感じ、みなさんあるでしょう。ここではあえてその縛りから離れ、あまりの行列で毎回「びっくり」して「ドン」と気分が落ち「キーっ！」となってしまうあの店に並んでいるよりずっと短い時間で、そっくりの商品が見つかるはず。
• その深さは夢とロマンの量・寸胴鍋 世界広しと言えどもフォルムが「寸胴である」ことが褒め言葉として成立しているのはこの商品だけじゃないでしょうか？　自慢のデミグラ入りの寸胴を何があっても離さない洋食屋の店主の話にはロマンを感じるし、ラーメン屋のサクセスストーリーもだいたい「寸胴ありき」で始まっている。こんなにいろいろな夢が詰まっているのに「ズンドー」というぶっきらぼうな語感であることもいい。
• 厨房で燃える黒い花・中華鍋 家庭で炒め物を味わうときに思う。「あー、中華鍋だったらなぁ」と。叶わぬ夢だと思いつつ、あの大きな鉄の道具を自在に扱い、シャキシャキやパラパラができたらどんなにステキだろう。新品のとき「空焼き」をしたり、使ったあとは油を塗っておくという作業もツウっぽくていい。タモさんばりのニセ中国語で、レシピの指示をまくし立てるマネだけしてちゃだめだなあ。
• 毎日使うからこそいい玉子焼き器を 作れば作るほど難しさと奥の深さに感じ入ってしまう玉子焼き。ランチのお店の厨房でシブく輝く逸品を手に入れたら、玉子焼きライフが変わるかもしれないとお考えの方は迷わずどうぞ。一度でいいから四畳半くらいのやつを焼いてみたいのだが、とお考えの方は別の係（探偵ナイトスクープなど）までどうぞ。
• 解体ショーもお手のもの 業務用まな板 大きさをヘクタールで表現したほうがわかりやすいのでは、とたじろぐほどの面積を持つまな板の数々。軽快な三味線のサウンドに乗せて大型の魚を捌く姿を日ごろから思い描くあなたの夢、実現いたしましょう。木製かプラスチック製か。先走って角刈りにした頭を抱えて悩んだことがいい思い出になるかも。

潔く旬を待つ。季節に特化した厨房用品

• 夏はぐるぐるやってくる ソフトクリームメーカー 今やオールシーズンどこでも食べられるソフトクリーム。地方限定ソフトまで準備されている周到さには敵わないけれど、家庭に導入することを妄想してみたら……。なかなか味わえないフレーバーを作り出すことも夢じゃないはず。夏だけしか物置きから出現させないという禁欲感（プレミアムとも言える）の演出も大切。
• タンクにはロマンがいっぱい ビールサーバー 呑み助ならば誰でも夢を見る「真夏に水道からビール」に一番近い解答を出せそうなのがビールサーバーだろう。父の日に贈るような簡易版ではない。思い切りのプロ仕様だ。15Lならば中ジョッキ(約400ml)35〜37杯分入る。明らかに呑みすぎだ。しかしレバーを引いて「う°っしぃぃぃぃ」とグラスに注がれる琥珀色の液体に抗える者などいるだろうか。いやいない(反語)
• コンビニのアレの名は？　温蔵ショーケース 寒さに追い立てられるように入ったコンビニエンスストアの一等地に鎮座している冬の花形機器。中華まんや『あったか〜い』のドリンクが入っているこの箱の名は『温蔵ショーケース』というらしい。こんな便利なのに家庭に導入されないのはなぜだろう？（電気代がネックか） 「ほらっ、これっ」「うわっ……あったかい。ありがとう！」などとリア充ごっこをする目的で購入するのはだめ。
• 冬のコンビニの支配者 おでん鍋 寒さに追い立てられるように入ったコンビニエンスストアの一等地に鎮座している冬の花形機器・その2。店内に出汁の匂いが溢れてくると「ああ、冬が近い」と思えるようになったあたり、すでに現代の季語だろう。夏場はなにに使えばいいのか迷うところ。仕切りがあるのでTシャツでも収納するのが良いかもしれない。「おでんの具は何が好き？」「わたし、だいこん」「俺も！」などとリア充ごっこをする目的で購入するのはだめ。
• 完全なる名前推し 石焼き芋機 「いも」を焼く以外の機能がまったくない。この潔さこそ機能美だろう。注目したいのはリストに挙がっている商品名。なにしろ「いもランド」だ。「いも」の「いも」による「いも」のための機械。それが「いもランド」。英訳したところで「Sweet potato land」だ。広がりがまったくない。プロ仕様の神髄を見た気がする。鳴門金時がこんがり焼ければ名前などどうでもいいのだ。